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盗まれたチャリを発見してそのまま乗って帰ると今度はあなたが犯罪者!?

 

新品の自転車が盗まれて数日後、帰り道に偶然その自転車を見つけたら、あなたはどうするだろうか。これはよかった、と自転車に跨って意気揚々と帰宅するのか、それとも被害届を出した警察に一報入れておくのか。実は、単純に自分の自転車であっても一度盗難に遭うと、その扱いは面倒なことになる。「教えて!goo」にも自分の盗難自転車を見つけた際に、採るべき行動について「自転車盗難され、定期駐輪場で発見」という質問が寄せられている。

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■まずは警察に通報することから

回答は異口同音に警察へ連絡することが優先事項だと述べている。中には、盗難事件の犯人を見つけるために、駐輪場に張り込むべきではというユニークなものもあった。

「まず警察に連絡してください。警官立会いの下で定期駐輪場事務所に説明に行きましょう」(tzd78886さん)

「警察に届けてありますか? 見つけたことを報告してください。勝手に取り返しては窃盗になりますよ」(nitto3さん)

中でも注目したいのは、二番目の回答である。窃盗された自転車を勝手に持って帰れば、それもまた窃盗になってしまう、とはどういうことなのだろうか。この自転車はもともと私のものなのに、とこの言説に抵抗感をおぼえる方もいるだろう。

■自力救済禁止の原則とは?

自分のものを勝手に取り返せば、いつの間にか自分が犯人になってしまう、こうした現象はなぜ起こるのだろうか。それは偏に、「自力救済禁止の原則」という近代国家の中で発展してきた法原則に秘密が隠されていた。この意外な原則について、富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に解説していただいた。

「自力救済とは、権利者が自分の権利を侵害された場合に、法的な手続によることなく、実力で権利を実現(回復)することを言います。刑事法では自救行為とも言います。法治国家では権利の実現は法的な手続を通じて行うことが要請されており、自力救済は原則として禁止されます。

 

その理由は、自力救済を広く許容するといわゆる弱肉強食の弊害が生じ、社会秩序の維持が難しくなってしまうためです。

まず、自力救済が特定の犯罪構成要件に該当しても正当防衛や正当行為にあたる場合はそもそも処罰されません。正当防衛や正当行為にあたらず犯罪として処罰される場合も、量刑判断において実力行使に至った事情が被告人に有利に考慮される可能性はあると思われます」

中でも「弱肉強食の弊害」とは、自力救済できる実力を持つものと持たないものの間で、救済の結果に差が出てきてしまうことを指している。法が何人にも平等に適用されることを、その根幹に置いている近代以降の法律では、自力救済は平等原則を破壊してしまう悪弊と認識されているのである。